F1断層は走向・傾斜がN45゚E, 30゚Nの逆断層であり,断層を境として北西側が15cm程度隆起している(写真4−1−8)。断層面は明瞭であり,面の下盤側には厚さ3cm前後の粘土質な破砕帯を伴う。断層は露頭下部の腐植質シルト・砂・礫層★9を変位させ,その上位の礫層★10に覆われている。
F2断層は,F1断層の上盤側に分布する正断層であり,F1断層と同様に露頭下部の腐植質シルト★11・礫層を変位させ,上位の礫層に覆われている(写真4−1−9)。断層を境とした変位量は約15cmであり,北側の上盤側ブロックが沈降している(写真4−1−10)。
★9後述の4.1.6項で述べる14C年代測定試料outcrop3を採取した地層。年代値は35,100±250y.B.Pである。
★10後述の4.1.6項で述べる14C年代測定試料outcrop4を採取した地層。約3万年よりも古い地層であることが判明した。
★11後述の4.1.6項で述べる14C年代測定試料outcrop5を採取した地層。Outcrop4と同様,14C年代測定の測定限界よりも古く,約3〜4万年よりも古い地層であることが判明した。
写真4−1−7 坪沼川右岸道路切り割りの断層露頭 全景
写真4−1−8 F1断層 全景
写真4−1−9 F2断層 全景
写真4−1−10 F2断層 断層面近接