本調査地の地形は,白石盆地東側の比較的緩やかな低山地地形,西側の比較的急峻な山塊,西側の山塊上に分布する浸食平坦面(H0),調査地北部に見られる泥流堆積面(H2)と白石盆地内および白石川沿いに分布する中位段丘面(M2),低位段丘面(L1),沖積段丘面(L3,L4),沖積低地面等に区分される。
この他の地形としては,白石盆地西縁に小扇状地地形,地すべり地形等が広く発達する。
また,白石盆地,沖積低地面内や盆地西縁に分布する小扇状地には,平坦面や緩傾斜面内に突出した丘陵地形が点在する。これを今回,分離丘陵と称した。
以下に,各地形面について特徴を述べる。
・浸食平坦面(H0面):調査地西側山塊の標高500m程度の山頂付近に見られる平坦面。
面は開析が進み不明瞭であり,西側に緩く傾斜する傾向が見られる。分布は山塊山頂部に沿い,南北に広く分布する。また,この面は調査地東側の低山地部には分布しない。
・泥流堆積面(H2面):調査地北部,白石市福岡長袋付近の標高225m付近の平坦面。
面はある程度開析が進むが,明瞭である。分布範囲は狭く連続性が悪い。
・中位段丘面(M2面):調査地北部,白石市福岡蔵本付近の標高130〜180m付近の平坦面。面は明瞭であり,開析もあまり進んでいない。面は東に緩く傾斜する。分布は福岡蔵本付近のみである。
・低位段丘面(L1面):調査地北部,白石市滝上,陣場屋敷,道内原付近の標高85〜90m程度の平坦面。面は明瞭であり,開析も進んでいない。面は東に緩く傾斜する。分布は,白石側以北に広く分布するほか,調査地南側の福島県国見町以南にも広く分布する。
・沖積段丘面T(L3面):調査地北部,白石市菅生田,岩上付近の標高70m付近の平坦面。面は明瞭である。白石川沿いでは狭いが,調査地南側の福島県国見町以南では広く分布する。
・沖積段丘面U(L4面):調査地北部,白石市細野近の標高60m付近の平坦面。面は明瞭である。白石川沿いに狭く分布するが,本調査地南側の福島県国見町以南では広く分布する。
・小扇状地面T(faT):調査地西側山塊の東麓斜面の最上部に分布する。面は開析が進んだり,他の小扇状地面(faU,faV)に被覆され保存状態は悪い。分布は,白石市市野付近でやや広く分布することを除けは,山塊東麓斜面の最上部に断片的に分布する。この面は調査地東側の低山地斜面には分布しない。
・小扇状地面U(faU):調査地西側山塊の東麓斜面に広く分布する。面は,開析は進んでいないが,小扇状地面Vに被覆されたり,地すべり地形により,切られたりして面の保存状態は悪い。この面は調査地東側の低山地斜面には分布しない。
・小扇状地面V(faV):主として調査地西側山塊の東麓斜面に小扇状地面Uを被覆すように分布し,一部は福岡長袋付近にも分布する。開析は進んでおらず,面の保存状態は良い。一部で地すべり地形に切られる部分があり。この面は調査地東側の低山地斜面には分布しない。
・地すべり地形(ls):調査地西側山塊の東麓斜面に分布。東麓斜面に分布する他の地形面(faT〜V)を切るか,被覆して分布し,開析がほとんど進んでいない。中斎川付近に,長さ700m,幅1200m程度のブロックが分布し,これ以南に,500×500m〜50×50m程度のブロックが点在する。
・崖錐面(dt):主として調査地東側の低山地斜面に小規模に分布する。
・沖積低地面(al):白石盆地の長さ8km,幅3kmの標高50〜60m程度の沖積平坦面および,越河付近の長さ3.5km,幅0.8kmの標高140〜160m程度の沖積平坦面。
以上より,本調査地の地形の特徴は以下のようにまとめられる。
@ 調査地北部の白石川沿いには,段丘面が認められるが,白石盆地以南には段丘面が認められない。調査地西側山塊の東麓斜面には,小扇状地面T〜Vや,地すべり地形が分布する。また,調査地西側の低山地斜面には,崖錐面が分布するのみである。
A 分布高度がもっとも高い浸食平坦面(H0面)は緩く西側に傾斜するが,H2面,M2面,L1面は,緩く東側に傾斜する。
B 沖積低地面は,白石盆地馬牛沼付近の低山地地を境にして,その南北で100m前後の比高差がある。
C 調査地西側山塊の東麓斜面には,分離丘陵が多く分布し,しばしば定向配列を示す。
図2−1 調査地の地形区分図
表2−1 各地形の特徴