(1)共通反射点編集(CDP編集)
全記録の発震点・受振点座標を用いて、反射点(発震点と受振点の中点座標)の分布図を作成し、反射点の分布が密な位置を選び、重合測線(CDP測線)を設定した。設定したCDPの数、および最終的に処理に用いたCDPの範囲は表2−1−104の通りである。
(2)屈折波解析(Refraction Analysis)
全ての現場原記録から初動走時を読みとり、その値から発震点・受振点・表層基底層速度を未知数とするインバージョン(改良タイムターム法)を行い、表層の構造を求めた。この結果を 図2−4−1、図2−4−2、図2−4−3 に示した。図の上段はタイムターム値と呼ばれる値を示し、中段は得られた表層と基底層の速度、下段は得られた表層構造であり、青が発震点、赤が受振点の値を示す。横軸は重合測線のCDP番号である。
表層第一層の速度(V1)はタイムターム法でからは求めることができず、現場記録の初動を参照して推定する。ここでは測線毎に一定として与えた。表層基底層の速度(V2)はタイムターム法により比較的正確に求めることができる。
最終的な V1 と V2 の値は表2−1−105の様に求めた。 この結果は、表層第一層の厚さの変化および標高変化に対する走時変化の補正(屈折波静補正)のデータとして用いた。
(3)プレフィルター(Pre−Filter)
油圧インパクターの記録に含まれる反射波の周波数成分はバンドリミットであるため、低周波数領域および高周波数領域のノイズを除去するために、通過周波数帯域 10〜100 Hzのバンドパスフィルターを適用した。ここでは後に述べるデコンボリューションの効果を高めるために最小位相型のオペレータを用いた。
なお、バイブロサイスの処理で用いられる最小位相変換(Minimum Phase Conversion)は、データ取得時に既に行っているためここでは行っていない。
(4)振幅補償(Gain Recovery)
テストの結果、ゲート長600msecの自動振幅調整(AGC)を行った。
(5)デコンボリューション(Deconvolution)
発震点・受振点の特性の相違を補正し、分解能の高いデータを得るためのデコンボリューション処理を行った。
テストの結果、以下のパラメータを採用した。
測線1
・ゲート長 :1500 msec
・オペレータ長 : 160 msec
・ホワイトノイズ : 0.5 %
・予測距離 : 2 msec
・時間ゲート : NonTV
測線2・3
・ゲート長 :1000 msec
・オペレータ長 : 120 msec
・ホワイトノイズ : 0.5 %
・予測距離 : 1 msec
・時間ゲート : NonTV
(6)速度解析(Velocity Analysis)
定速度重合法(Constant Velocity Stack (CVSK))を用い、測線1では50CDP毎の地点18箇所で速度解析を行った。測線2・3では100CDP毎の地点各8箇所で速度解析を行った。更に、水平方向の構造変化が急激であると思われる地点では速度解析を追加した。
なお、速度解析は、残差静補正前後で2回行った。
(7)NMO補正(NMO Correction)
各速度解析点で決定した速度関数(To,V)を測線方向に内外挿することにより、速度構造図が得られ、これを用いてNMO補正を行った。
(8)残差静補正(Residual Statics)
屈折波を用いた静補正では、比較的長周期の補正値は精度良く補正されるが、短周期の受振点・発震点固有の補正は不十分である。そこで、NMO補正後のデータの反射波を用いた残差静補正を行った。ここで求めた静補正量を再度NMO補正前のデータに適用し、再度速度解析を行った。
(9)重合(CDP Stack))
NMO補正、残差静補正終了後、各CDP内の反射波走時は、同一時間に並び、屈折波・表面波・ノイズ等は同一走時とならない。そこで、これらを足し合わせる(重合する)ことで、S/N比の良い反射記録が得られる。標準重合数は、測線1で60重合、測線2・3で40重合であるが、受振点・発震点ともに欠落部分があるために平均重合数はこれよりもやや少ない。
(10)重合断面図(Final Filtered Stack)
重合後のデータに対して、フィルターテストを行い、以下のフィルターを適用し、最終重合断面とした。
バンドパスフィルタ
測線1 15−70 Hz(浅部) 10−60 Hz(深部)
測線2 20−70 Hz
測線3 20−70 Hz
(11)マイグレーション(Migration)
重合断面図上では、反射波は、各CDP位置から反射面までの往復垂直走時がそのCDP位置に表現されている。従って、傾斜した反射面に対しては、重合断面図上の反射面の傾斜/位置が、真の構造から若干ずれてくる。これを補正し、各CDP直下の構造形態を表す様にする処理がマイグレーション処理である。
差分近似のマグレーション処理を行い、速度は重合速度の85%を用いた。
(12)深度変換(Depth Conversion)
マイグレーション後の記録に対し、速度関数を用いて、時間軸の深度軸への変換を行った。