稠密浅層ボーリングは,沖積層の連続性や層厚変化等をより詳細に調べることにより,撓曲に対してアバットする沖積層の堆積状況や変形状況を把握し,長町−利府線の最新のイベントを含む地震性地殻変動を明らかにすることを目的として実施する。
なお,沖積層は連続性に乏しいことから,短い間隔でのボーリングを以下の要領で実施するものとする。
調査位置は,今年度実施したNo.1孔とNo.2孔との間及びNo.2孔より山側の平地部とする(図5−2−1)。ボーリングはNo.1孔とNo.2孔との間で6孔,No.2孔より山側で2孔,計8孔掘削する。ボーリングの孔径は86mm,掘削深度は20m/1孔程度とする。ボーリングコアについては,平成9年度調査で確認した地層の連続性や層厚変化等をさらに詳細に調べるため,精密な地質観察を行い柱状図を作成する。また,年代測定用試料(14C,火山灰など)が認められた場合はこれらを採取する。
なお,ボーリング調査を補完する目的で,矢板を用いた地層抜き取り法などの新しい調査手法の採用も検討する必要がある。
(2)試料の分析・測定
精密な地層対比及び地層年代測定のため,ボーリングコアを用いてなるべく多くの14C年代測定,火山灰分析を行う。また,ボーリングコアに液状化等の地震の痕跡を示す堆積構造が見られた場合は,軟X線写真撮影によって堆積構造を確認するとともに,その地層の年代測定を行い,イベントの時期を明らかにする。
(3)総合解析
平成7,9年度の調査結果を踏まえ,長町−利府線の活動履歴について総合的に検討し,起震断層としての評価を行う。