(2)活動履歴の考察について

長町−利府断層の平均変位速度を仙台中町段丘面による0.80m/1000年とし,変位量を計算すると,沖積層の堆積した18,000年間では,上下変位が14.4m生じることとなる。このことは,今回実施した2孔の延長上では大きな変位が生じていることを示唆する。

今回の調査では,図3−3−3−1の地層対比図に示されるように,仙台中町段丘堆積以降,対比される各面の傾斜は仙台中町段丘堆積物基底部から沖積層の上面にかけて徐々に小さくなり,層厚は平野側で厚くなる。これは,仙台中町段丘堆積以降,2孔間を変位させる活動があった可能性のあることを示している。 また,沖積層基底から14C年代測定で7,270年〜2,570年と測定された箇所の中間付近まで2孔間の傾斜は徐々に小さくなり,その後現在までほぼ同じ傾斜となっている。これは,約18,000年前から7,270年〜2,570年前までの間で,2孔間を変位させる活動があり,その後は現在まで活動がないという解釈もできる。

これを明らかにするためには,今後2孔間付近で稠密ボーリングを実施することにより,同一面を示す複数の地層に変位が生じているか否かを確認することが必要であると考える。