(1)ボーリングに見られる堆積物について

従来より,仙台平野の埋没谷埋積堆積物については,ボーリング資料などをもとにして層相や分布についての記述がなされている。表3−4−1に仙台平野における沖積層の層序区分表(仙台市史編さん委員会,1994)を示す。仙台平野には,洪積世に堆積した礫の風化が進んだ下部砂礫層及び礫の新鮮な上部砂礫層,沖積世の陸成粘土層及び海成粘土層,その上位の海成砂層及び風成砂層,粘土層が分布するとされている。

今回のボーリングでは,貝殻等の海成堆積を示唆するものは見いだせなかったため,海成の地層を堆積させた海進は,調査地の範囲までは及ばなかったものと考えられる。したがって本調査で確認されたのは,上記の区分では沖積世の海成粘土層,海成砂層を除く陸成の地層と考えられ,ボーリングに見られる礫層は,その性状等から上記の区分と以下のように対応づけられると考えられる。

ボーリングで確認された青葉山段丘堆積物,台の原段丘堆積物は,風化の進んだ礫が主体となっていることから,洪積世の下部砂礫層に相当すると考えられる。仙台上町段丘堆積物,仙台中町段丘堆積物は,新鮮な礫層主体であることから,洪積世の上部砂礫層に相当すると考えられる。なお,腐植混り粘土層に相当する地層は,ボーリングでは愛島軽石とその上位に見られる粘土質の堆積物である可能性がある。

このように,今回ボーリングで区分された堆積物と,従来言われている仙台平野の埋没谷埋積堆積物の区分とは整合的である。