1−1−3 長町−利府断層帯と坪沼−円田断層帯との関係
すでに述べたことから分かるように、長町−利府線と坪沼−円田断層帯はともに北東−南西方向で、地下浅部に撓曲を伴うか否かの相違はあるが、本質的には北西上がりの逆断層である。そして、両者は互いの延長方向に近接して存在している。これらが連続した一つの断層帯であるのか、それとも別個の2つの断層なのかということは、起震断層の長さから起こり得る最大規模の地震を概算する際に、大変重要な問題となる。一つの断層帯としたとき(延長は38〜40km)の最大マグニチュードは7.5にもなり、別個の断層としたときの最大マグニチュードは、長町−利府断層帯(21km)で7.0、坪沼−円田断層帯(12km)で6.6となるからである。 今回の調査においては、これら2つの断層帯のリニアメントが名取川までは達していないように見えること、両断層帯の延長部にあたる名取川沿いの仙台中町段丘面にも顕著な変位は検出されないこと、坪沼断層の垂直変位量は南西から北東に向かって減少することなどから、長町−利府断層帯と坪沼−円田断層帯とは別個の断層である可能性があるが、重要な問題なので、なお検討を要する。