(1)断層の位置と断層の長さ

従来の研究で特定された長町−利府線の長さは、約26km(中田ほか、1976)と約17km(活断層研究会、1994)である。今回の調査によって、長町−利府線の北東端が利府町大日向付近にあること、および名取川を横切るリニアメント(ML−15、ML−16、MF−6)は断層ではないことが判明したので、長町−利府線の南西端をリニアメントML−14の南西端とみなすなら、全長は21kmとなる。

 長町−利府線と関係があるとみなされるリニアメントは、撓曲崖を表しているかそれが浸食と沖積層の堆積によって改変されたものである可能性が高い。位置を比較的よく特定できる利府町付近の場合であっても、長町−利府線の断層の位置はリニアメントNL−3より約100m南東側にある。新幹線車両基地から七北田川にかけては、沖積平野下にある北東−南西方向の直線的な埋積谷に一致する可能性が高い。反射法地震波探査測線Line−1の結果、日本国有鉄道盛岡工事事務所(1986)による仙石線仙台・苦竹間地質調査報告書に収録されている宮城野原運動公園付近のボーリング資料、仙台交通局(1982)による広瀬川沿いの地下鉄工事区間の地質断面図と大槻の未公表資料を考慮すれば、七北田川から名取川にかけてのリニアメントは、撓曲崖とこれにアバットする沖積層との境界にあたるものと判断される。

 大年寺山断層と鹿落坂断層の長さは、それぞれ8.5kmと4.2kmであり、従来の見解と大差ない。断層の位置もほぼ従来通りである。