(4)大年寺山断層

1)断層の位置

 東仙台付近から富田付近まで南東側上がりの逆むき低断層崖及び直線谷が発達し、多くのリニアメントが判読される。本断層の位置はこれらのリニアメントに一致する。これらのリニアメントは大年寺山付近に典型的に認められる(写真2−67)。

 このうちML−1リニアメントにおける本断層は、仙台市街地において仙台上町段丘面及び仙台中町段丘面T・Uにそれぞれ比高差5m及び3mの変位をあたえ、明瞭な南東側上がりの逆むき低断層崖を形成している。このリニアメント南西端付近の愛宕橋付近においては、河岸及び河床に竜の口層の露頭がほぼ連続してみられるが、断層は愛宕橋と宮沢橋の中間に見られる放水口付近の露頭欠如部付近に存在する可能性がある。ML−9リニアメント上の二つ沢には、向山層中に本断層の断層露頭がみられる。ML−10リニアメントは土手内付近から西多賀付近まで南東上がりの逆むき低断層崖が連続的に配列する位置に判読され、このリニアメントと一致する本断層は、三神峯付近で台の原面を約15m南東上がりに変位させている。この他のリニアメントは小規模であるが富田付近まで分布している。

2)断層付近の構造

@図2−7−1図2−7−2のG−G´断面図(榴ヶ岡)付近の梅田川沿いの仙台客車検査場から平田橋付近にかけての竜の口層は、大年寺山断層の両側で岩質があまり変化していないことから、大年寺山断層の変位は大きくないと考えられる。

AH−H´断面図(大年寺山付近)付近では、二ツ沢で本断層の断層露頭が確認されている(写真2−29写真2−30)。ここでは走向・傾斜N73゜E25゜SEの逆断層により向山層が南東側上がりで変位しており、その変位量はこの付近で約30〜45mと見積もられる。また、土手内において本断層の派生断層と思われる、台の原段丘礫を変位させている逆断層が見られた(写真2−32)。

3)断層の評価

(1)断層の位置及び長さ

 東仙台付近から富田付近まで、仙台市街地及び大年寺山北西部に南東側上がりの逆むき低断層崖及び直線谷が発達し、いくつかのリニアメントとして判読される。本断層はこれらのリニアメントに沿って延びている。本断層の長さは、東仙台付近から富田付近までの8.5kmである。

(2)断層の平均変位速度

 図2−8に中田ほか(1967)による長町−利府断層帯周辺の断面図を示す。大年寺山断層の平均垂直変位速度は約0.1mm/年で、活動度はBクラスに属する。