@青川上地区
東上がりの逆向き断層崖が推定される場所で、沖積層まで変位させている徴候があるため、次期調査にとって有望である。逆向き断層崖を形成する断層の活動がすべて主断層の活動と連動しているかどうかはわからないが、一般に1回の変位量が小さく、下盤側に堆積物がたまりやすい条件にあるため、活動履歴を復元するための調査には好都合である。平成10年度の椋本断層の調査では逆向き断層崖の調査で良好な結果が得られており、成果が期待される。
A宇賀川地区
平成7年度の宇賀川トレンチにやや近く、既存調査結果の確認に適すると思われる。1000年前程度の年代を示す成層した地層があり、最近の断層活動時期を特定するのに有効である。ただし、トレンチはやや深くする必要があり、崖側からの湧水が多いため掘削時の地層の崩壊が懸念される。場合によっては群列ボーリングに変えることも検討すべきである。
B宇賀川南地区(その1)
平成7年度の宇賀川トレンチにやや近い。断層位置が不明で沖積層中にも年代試料が乏しいため、次期調査には適さないと思われる。
C宇賀川南地区(その2)
平成7年度の宇賀川トレンチにやや近く、既存調査結果の確認に適すると思われる。 600〜1000年前の年代を示す地層が変位している可能性があり、次期調査で最近の断層活動がとらえられる可能性が期待される。断層位置を特定するために、予め、ピットとUGB−14の間にボーリングを追加する必要がある。
D田口地区
この場所が断層であるかどうかが不明であり、年代試料も見られないため、これ以上の調査は期待できない。
E田光地区
約3000年前の土壌を変位させている可能性があり、次期調査の候補地として可能である。これより若い地層は確認されていない。正確には断層位置が特定できていないため、TBB−8とTBB−5の間にボーリングを追加して可能性を探るべきである。トレンチは浅いものでも良いため、有利と言える。
F杉谷地区
断層によって約5000年前の土壌が変位している可能性があり、次期調査の候補地として可能である。ただし、これより若い地層は確認されていない。トレンチは浅いものでも良いため、有利と言える。または群列ボーリングでも可能である。
以上の@〜Fの地点での検討結果を表3−2−1に整理した。同表は「新しい年代の地層があるか」、「断層位置が特定できているか」、「トレンチの施工は容易か」といった評価項目について検討したものである。
調査箇所はB、Dを除く5地区から選定することになるが、一覧表の総合評価のうち、◎の箇所(A、C、E)を優先的に選ぶのがよい。
表3−2−1 平成14年度調査の候補地