両図で、礫層の分布標高は、全体に上盤の方が下盤よりもおよそ2〜3m高い。これが断層変位に相当することが考えられる。いずれの図においても、礫層、沖積層の分布標高が北方、河川の流下側に向かって低くなっている。ただし、一部、上盤の宇賀川地区のみ東海層群の上面標高が高い。これは流心をはずれた丘陵部を投影したためである。
下盤縦断図(2)では、中央〜N側(下流側)に沖積層が厚く堆積し、ピートなど腐植土を挟む。現河床*レベルと比較すると、礫層も沖積層も、若干、上面の分布標高が高い。しかし、推定される基底部の高度から判断すると、礫層は現河床と大きな隔たりはなく、これらの点から“礫層”はL2面以降の段丘堆積物、例えばL3面構成層相当か、または完新世の堆積物の2つの可能性がある。
*(注) 現河床:最近は宇賀川の砂利採取等に伴う河床低下が大きいため、米軍写真による航測図(1948時点)を参考とした。