(1)河川縦断形による検討

図3−1−9−1図3−1−9−2に宇賀川地区、宇賀川南地区(その1)、宇賀川南地区(その2)の情報を総合した上盤縦断図(1)、下盤縦断図(2)を示す。両図は想定される宇賀断層にほぼ平行した断面である。

両図で、礫層の分布標高は、全体に上盤の方が下盤よりもおよそ2〜3m高い。これが断層変位に相当することが考えられる。いずれの図においても、礫層、沖積層の分布標高が北方、河川の流下側に向かって低くなっている。ただし、一部、上盤の宇賀川地区のみ東海層群の上面標高が高い。これは流心をはずれた丘陵部を投影したためである。

下盤縦断図(2)では、中央〜N側(下流側)に沖積層が厚く堆積し、ピートなど腐植土を挟む。現河床*レベルと比較すると、礫層も沖積層も、若干、上面の分布標高が高い。しかし、推定される基底部の高度から判断すると、礫層は現河床と大きな隔たりはなく、これらの点から“礫層”はL2面以降の段丘堆積物、例えばL3面構成層相当か、または完新世の堆積物の2つの可能性がある。

*(注) 現河床:最近は宇賀川の砂利採取等に伴う河床低下が大きいため、米軍写真による航測図(1948時点)を参考とした。