既存の宇賀川トレンチの南方で、その1地区との間に位置する。目的は、地形的な崖よりも前面に完新世後期の堆積物(最近1000年以内)を切る断層が存在するかどうかを検討するためである。
本地区の地層は下位から東海層群、礫層、沖積層、及び盛土である。西側の東海層群は45〜50°傾斜している。
ピットとUGB−14の結果から、盛土は3層(@〜B)あると見られる。下位の盛土@の上面はピット部分で崖をなしており、米軍写真(1948)に見られる崖地形に相当すると見られる。盛土AとBはごく最近(平成7年以降)の圃場整備に伴う盛土と思われる。沖積層は腐植土を挟む花崗質の砂層で、ボーリング、ピットのいずれでも確認されている。年代はUGB−13付近の腐植土は630±60 yBP、UGB−14の腐植土は1140±40 yBPとなり、ほぼ同時代と見ることができる。
以上の条件から、ここではピットとUGB−14の間に西上がりの逆断層を推定した。断層を挟んだ標高差は礫層上面も東海層群上面も2.3mで、変位の累積性は認められない。最近、約1,000 yBP以降に変位した可能性がある。ただし、礫層の上面が傾斜しており、沖積層がアバットして堆積したことも考えられる。この問題の解明には新たなボーリングなどの追加情報が必要である。