2−3−6 ピット調査−杉谷ピット

調査位置を図2−2−5に、スケッチ図・写真を図2−3−5−1図2−3−5−2に示す。

ピット位置は写真判読による前縁断層の下盤側に相当する。ただし、現在は圃場整備により、地形が改変されている。

ピットに見られる地層は以下のとおりである。

a 水田耕作土

b 盛土2(黄褐色〜暗灰色、縞状)

c 盛土1(暗褐色)

d 黒色土(黒ボク:人工的撹乱及び生物撹乱を伴う、草根侵入)

e 暗褐色土(上位黒色土の漸移層)

f 砂質シルト(黄褐色:フラッドロームに相当)

砂質シルトfは花崗質の粗砂を含む均質なシルトで層相からフラッドローム(河川の越流堆積物)と見られる。黒色土dには撹乱が見られ、特に下面の乱れ、凹凸が目立つ。下位の漸移層やフラッドローム中には黒色土がパッチ状、あるいはパイプ状やロート状に落ち込んでいる。これらは耕作または樹根の侵入に伴って、黒色土が下位層に取り込まれたものと推定される。

年代は黒色土dが4760±70 yBP、及び5480±70 yBP、漸移層eが8220±60 yBPと、いずれも縄文時代(早期〜中期)の年代を示す。このピット内には変形構造は認められない。