調査地区は2−4宇賀川南その1地区と、2−3宇賀川地区との中間で、宇賀川地区、宇賀川南地区その1の調査に続いて実施した。ここではピット掘削の前にボーリング調査を実施した。地形状況は前述の宇賀川地区とほぼ同様(沖積面上)であり、圃場整備により改変された水田である。この地区では、想定される断層を挟んで、UGB−13、UGB−14の2本のボーリングを実施した。
上盤側では沖積層(ピートを挟む)、礫層、45〜50°傾斜した東海層群が認められた。下盤側では盛土の下に古い石積みらしい大礫(沖積層の上に位置し、礫間に数10cmの空隙を伴う花崗閃緑岩の大礫群)があり、以下、上盤同様、沖積層(ピートを挟む)、礫層、東海層群礫岩が認められた。最近の圃場整備前は2段の水田であったことから、最上部に分布する盛土は2〜3層あると考えられる。
沖積層は、淘汰不良の砂が主体で、一部にφ15mm以下の亜角〜円礫を含む。沖積層に挟まれるピート層は厚さ4cm以下であり、一部に木片を含む。
礫層は、花崗閃緑岩の玉石の他、硬質な古い堆積岩(泥岩、砂岩等)を多く含む。φ50〜300mmを中心とし、最大で350mmのものが観察された。マトリックスは花崗閃緑岩質の中〜粗砂である。
基盤の東海層群は、上盤、下盤ともに乱れの少ない締まったコアであり、断層運動による撹乱の徴候はない。上盤側の東海層群はシルト岩主体で、部分的に礫岩を挟む。層理面の傾斜は、上部で20°、下部で50°程度である。下盤側の東海層群は礫質であり、φ10〜25mmの亜円礫を多く含む。礫種は砂岩、泥岩が主体でチャートを含む。
ボーリング孔間における沖積層下面、東海層群上面の標高差はいずれも2.3mである。礫層の層厚は上盤・下盤ともほぼ同じで、両孔間に礫層と沖積層を変位させた断層の存在が推定される。
地層の年代は以下のとおりである。いずれも沖積層相当の若い年代である。
・UGB−13(TP)、1.10m(有機質細砂): 630±60 yBP (上盤)
・UGB−14、3.18〜3.21m(腐植土) :1010±40 yBP (下盤)
・UGB−14、3.33〜3.35m(腐植土) :1110±40 yBP (下盤)