2−2−4 ボーリング調査−宇賀川南地区(その1)(大安町石榑南)

調査位置を図2−2−2に、断面を図3−1−4に示す。

調査地区は、2−3の宇賀川地区より道路を挟んで約120m南方の地点にあり、地形状況は前述の宇賀川地区とほぼ同様(沖積面上)である。地表面は圃場整備により改変された耕作地であるが、現在は耕作されていない。沖積層を切るような、最近の時代の前縁断層が存在するかどうかを探るために設定した地区である。当初、断層の下盤でピット掘削をする計画であったが、地権者との交渉が不調だったため、ボーリングで変位の有無を確認することとした。

この地区では、想定される断層を挟んで、UGB−8、UGB−9の2本のボーリングを実施した。上盤、下盤共に、盛土、沖積層を経て、礫層と、基盤の東海層群が観察された。想定される断層位置が不明瞭であったことから、ボーリング間の距離は約24mと広く設定した。しかし、両ボーリング間で、礫層の層厚及び東海層群上面高度に差が認められた。

沖積層は砂優勢で、厚さ0.3〜1.0m程度と薄い。φ5〜15mmの砂岩、花崗閃緑岩等の亜円礫を含む。東側のUGB−9では均質な中〜細砂であり、礫分は観察されない。ボーリングでは年代試料はほとんど認められなかった。

礫層は、硬質な古い堆積岩や花崗閃緑岩の玉石を多く含む。φ50〜100mmを中心とし、最大で400mmのものが観察された。マトリックスは花崗閃緑岩質の粗砂主体である。礫層の上面標高は、両ボーリング間で約0.35mであり、ボーリング間の距離(24m)を考慮すればほぼ水平に近いといえる。

基盤の東海層群は、上盤下盤共に乱れの少ない締まったコアであり、断層運動に伴う乱れは見られなかった。上盤側の東海層群には砂岩中にラミナが発達しており、傾斜が50°程度と高角である。下盤側の東海層群は礫質であり、φ5〜20mmの亜円礫を多く含む。礫種は砂岩、チャート等が多く観察された。一部、砂が優勢な箇所で黒色に固結した炭化物片を含んでいる。

東海層群は下盤側(西側)で低く、標高差は3.0mである。これは礫層堆積時の侵食崖の可能性も否定できないが、現在のM面を侵食した崖地形の前面に新期の地層を切る断層が存在する可能性が示唆される。

なお、当地区のボーリングコアには年代試料がなかったため測定をしていない。