(4)セグメント区分の可能性

以上の各断層帯(布引山地東縁断層帯(北部)、布引山地東縁断層帯(南部))の分布形態、活動時期、及び平均変位速度による区分を総合して、セグメント区分について検討した。

セグメント区分においては、断層の分布形態や平均変位速度も重要ではあるが、断層の活動時期が最も重要な要素である。最近の活断層研究においては、活断層の活動について最近十数万年の活動に注目している(活断層詳細デジタルマップ,2002など)。すなわち、高位面以前の古い活動傾向よりも、中位面以降の最近の活動傾向の方が今後の活動性について高い精度で判断できると考えられている。

前述の平均変位速度による区分では、布引山地東縁断層帯が、戸島西方断層南方で区切られるとした。しかし、平均変位速度の傾向から別の区分となっても、同時に活動しないという確証はないため、活動時期の新期活動区間を重視すれば、図3−2−2のようなセグメント区分が可能である。すなわち、布引山地東縁断層帯のセグメント区分は以下のようになる。

〔セグメント1〕布引山地東縁断層帯(北部)全体・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・延長約27 km

〔セグメント2〕(南部)鳥戸断層〜山口断層〜六呂木断層〜片野断層・・・・延長約17 km

以上のセグメント区分において、布引山地東縁断層帯(南部)のうち小山断層の区間(約 7 km)は旧期活動区間であって最近の活動がないため、今後活動する可能性がない区間と判断される。

したがって、本県が防災対策において考慮すべき起震断層の断層長は、布引山地東縁断層帯(北部)が27 km、布引山地東縁断層帯(南部)が17 kmとなる。

図3−2−2 地形面の平均鉛直変位速度とセグメント区分