図3−2−2から、平均変位速度の全体の分布傾向にはいくつかの山がみられる。区分としては、鈴鹿東縁断層帯(北部)の南端部で変位速度が著しく低下することから、ここで区切ることができる。布引山地東縁断層帯は、北部も南部も変位速度が0.1(m/千年)前後で、ほぼ同等と見ることができる。これに対し、鈴鹿東縁断層帯では0.1〜0.3(m/千年)と、布引山地東縁断層帯より大きい傾向がある。同図には変位速度の分布傾向を包絡線状の破線で示した。ただし、変位基準がないか、または変位地形が不明瞭なために変位速度が不明の部分は“?”を付けた。例えば布引山地東縁断層帯(北部)の椋本断層の南端33km付近(安濃町安部:戸島西方断層の延長)は変位速度が極めて小さくなることが確認されている。また、小山断層(小山撓曲)付近は中位面以降の最近の活動が認められないことから変位速度の区分から除外される。同様の理由で風早池断層も除外される。
以上の平均変位速度の分布傾向から、布引山地東縁断層帯は以下のように区分される。
@(断層帯北部)白木断層〜椋本断層〜戸島西方断層
A(断層帯北部〜南部)戸島西方断層南方〜庄田断層
B(断層帯南部)鳥戸断層〜山口断層〜六呂木断層〜片野断層