L3相当層はアバット状に堆積しており、断層の下盤側にのみ確認される。このことから、L2面形成以降(約2万年前以降)、L3相当層堆積以前にも、1つ前の活動があったと推定される。
これらの結果と平成10年度の椋本断層の調査結果を併せて表示すると、布引山地東縁断層帯(北部・南部)の活動は図3−4のようになる。
鳥戸断層のトレンチT1では「約1.2万年前〜約800 yBP」の他にも、ボーリングから「約8,400 yBP以降の活動」が推定されており、この約1.2万年前以降の活動履歴の関連性が注目される。
一方、片野断層のトレンチT3.2の結果から「約2万年前〜約9,800年前に2回の断層活動」が想定されている。この他には片野断層に最近約1万年前以降の活動の徴候が認められないことは重要な点で、断層活動の再来周期を把握し今後の活動予測を行うための検討が必要である。
なお、布引山地東縁断層帯(北部)の椋本断層と同断層帯(南部)の各断層とは活動時期が重複しているが、関連性については明らかでない。
図3−4 布引山地東縁断層帯(北部・南部)の断層活動総括図
−平成10年度、12年度のまとめ−