分析試料は、表層の人工改変層及び深部のMf相当層を除き、ほぼLf相当の深度2.8−22.8mの20m間で採取した50試料である。各試料は以下のように調整し観察を行った。
・ 試料の水洗による粘土分の除去
・ ふるい分け(250メッシュ)により砂分を選別
・ 砂分の計量(%)
・ ふるい分け(120メッシュ)による粗粒分の除去:極細砂の選別
・ 極細砂の薄片作成
・ 実体顕微鏡及び偏光顕微鏡による薄片の観察
・ 火山ガラスの計測
分析結果を表2−3−3及び図2−3−5に示す。火山ガラスは含有量が少なく、計測結果は百分率ではなく薄片中に見られる火山ガラスの個数で表現した。
表2−3−3 ボーリングB1−3の火山灰分析結果
図2−3−5 火山ガラス頻度分布図
火山ガラスは深度8.6m以下には全く見られない。また、深度3.70−5.50mでも認められない。深度8.30−5.95mの間の8試料では最高11個の透明なバブルウォール型の火山ガラスが連続して認められた。同様に深度2.80−2.90mでは5個の火山ガラスが認められた。これらの火山ガラスはいずれも水和が終わっており、水和途中や色つきのガラスはない。
また、火山ガラス4試料の屈折率の測定結果を表2−3−4に示す。
表2−3−4 火山ガラスの屈折率測定結果
以上のボーリング試料の火山ガラスの分析から以下のように解釈できる。
・ 表2−3−4(上記)の火山ガラスは、3試料が水和したバブルウォール型で、屈折率がATに近似する火山ガラスであることから、ほとんどAT火山灰由来の可能性が高い(最上位の1試料は特定できない)。
・ 8.60m以浅はAT火山灰降灰後の地層の可能性がある。
・ Ah火山灰由来の火山ガラスの兆候がないので、Ah火山灰降灰後の地層はないと思われる。