(1)14C年代測定

14C年代の分析結果は既にボーリング、トレンチの項で使用しているが、ここで改めてまとめて記載する。なお、年代値は補正年代を用いている。

年代測定は、主としてトレンチ壁面から採取した炭化物、木片、腐植土及び対比のためにボーリングコアや露頭から採取した腐植土等について合計28試料の分析を行った。試料採取位置は各トレンチのスケッチ図に示した。分析試料と測定結果を次表に示す。測定結果の詳細データは巻末に一括した。

中には測定に耐える十分な炭素量がなかったために“測定不能”となった試料が8試料あった。しかしながら、その他の試料も概ね小粒でそれ以上の大きさの年代試料は見つからなかったため、代替試料を分析に出すことが出来なかった。

@ T1試料

T1−C9は攪乱層A2の下部に層状に分布する泥炭質の腐植土で、参考までに古い圃場整備の際に用いた土壌の年代を測定した。T1−C10は、ほぼ自然の地層(B2)で下位の地層を不整合に削った砂礫層中に小礫状に多数含まれていた土壌の年代を測定した。ただし、B2の生成年代はその中に含まれる土壌よりも若干後の時代と考えられるが、いつであるかは正確には言えない。

A T2試料

試料はいずれもトレンチ中の3層の泥炭である。このうち、T2−C2とC2'は中位の泥炭で、C2はその中の木片のみ、C2'は木片を除くマトリックスの有機質土である。これは上位のT2−C3の年代が下位のC2より古く出たため(年代の逆転)、C2が下位の地層から混入した古い流木の可能性があるとしてチェックのために測定したものである。しかし、結果はほぼ同じ年代を示し、年代の逆転の理由は不明である。

B T3.2試料

T3.2−C2〜C5は砂層及びシルト層に含まれる植物の炭化物で、一部には根も含まれる。測定の結果、黒色土壌C6、C1が9000年代( yBP)で、かつ、C6、C1、C3の順に下位になるほど古くなり層序に一致することからほぼ妥当な値と考えられる。さらに下位の値は上位とは逆転し、C2は900年代( yBP)であるため、樹根の侵入によることが考えられる。

C ボーリング試料

C.B1−3はLf層準だが、3試料のうち1つは沖積相当の年代となり(C.B3−1)、上位の年代とは逆転している。また、B6−C1はM層上面だがL相当の年代となった。これは地層の堆積後に土壌化した時の年代と考えられる。 

表2−3−2 14C年代測定結果 (測定:樺n球科学研究所)