2−2−6 ボーリング調査−B5地区(松阪市小片野町中出:片野断層)

調査位置を図2−2−4に、断面を図2−2−10に示す。この地区では、当初、低断層崖と考えられていたL2面上の低崖を挟み、約10mの間隔で2本のボーリングを実施した。基盤はいずれも花崗閃緑岩であり、基盤の上面に0.9mの標高差が認められた。その後のトレンチ調査T3.1により、この標高差は断層変位によるものではなく、基盤の侵食による凹凸であることがわかった(U 3 トレンチ調査参照)。

そこで、当初、低断層崖と見られた低崖が人工改変による崖であって、本来の断層はこれより東方にあることが想定されたため、ボーリングB5−2より東方約24mの地点で追加ボーリングB5−3を実施した。その結果、B5−2とB5−3間の基盤に2.68mの標高差が認められた。しかも、B5−3の地層は巨礫層ではなく、B5−1やB5−2で見られなかった砂層、シルト層(フラッドロームを含む)である。このような著しい層相の違いから、B5−2とB5−3間に断層の存在が想定され、実際にトレンチT3.2の掘削によって断層構造を明らかにできた(トレンチ調査参照)。