2−2−3 ボーリング調査−B2地区(松阪市伊勢寺町:鳥戸断層)
調査位置を図2−2−2に、断面を図2−2−7に示す。断面図には参考まで既存のボーリングM−39(日本道路公団)も表示した。この地区では、撓曲帯を挟んで4本のボーリングを実施した。また、同地区は撓曲帯の幅が広いことと、現在は撓曲崖が圃場整備により改変されていることから、それぞれのボーリング間の距離を30〜40mと広くとった。ボーリングの結果、西側の3本で一志層群の砂岩の基盤を、東側の1本でクサリ礫を多く含む風化礫岩を掘削した。B2−3では一志層群が段丘礫層または東海層群に乗り上げる断層を貫くことを目的として、深度24mまで掘進を続けたが断層を確認できなかった。しかし、層序関係から見て断層はB2−3とB2−4の間に存在することは確実と思われる。この地区の地形面はLf面であり、最上部には全てのボーリング地点で厚さ0.75〜2.3mのシルト層が見られた。Lf堆積物は上盤側では厚さ5.48〜6.07mであるのに対し、下盤側で9.95mと厚くなっており、Lf礫層堆積中の断層変位の累積の可能性が考えられる。下盤側ではLf堆積物の下位にM相当の礫層がある。さらに下位にはクサリ礫を多く含む礫岩があり、これは東海層群もしくは見当山累層相当の古い礫層と考えられる。
以上の点から、B2地区では少なくともLf堆積物の一部まで変位していると考えられる。