(2)P2測線

@ 表層速度分布

図2−1−7の表層速度分布図から、本測線の地表付近の速度分布は次のとおりである。

地表下10m以深は速度が2,000m/s以上で全体に高速であるが、測点No.260〜300間では地表下40m付近まで2,000m/s以下である。

2,500m/sのコンターを見ると、測点No.390より西では深度10m前後、測点No.390〜310間は20m前後、測点No.310〜210間は30〜60mと深くなり、測点No.210より東は概ね30mの深度にある。

A 反射面の分布状況

図2−1−5から本測線の反射パターンは次のとおりである。

地表からおよそ50mまでのごく浅い部分に2つの強振幅の反射面が認められる。上位の地表から20〜30mの深さにある強振幅イベントは、全般に直線的で地表面とほぼ平行している。下位のイベントは、一部不明瞭で全体に断続的ながらも、ほぼ水平に続き凹凸に富んでいる。また、全体に西側で浅く、東側で深くなっている。

なお、深度50m以深にも断片的に強い反射面が認められるが、重複反射等のノイズと推定される。

B 反射断面の解釈

図2−1−5に解釈断面を示す。浅部の反射面はほぼ水平に連なり、段丘礫層(Lf相当)と花崗岩または新第三系との境界と考えられ、あまり起伏はない。やや深部の反射面は新第三系と花崗岩の境界と考えられる。地表地質踏査の結果から新第三系は一志層群井生泥岩層と思われる。

各反射面のずれから、測点No.390付近に西上がりの断層(山口断層の位置)、No.70付近に東上がりの断層(ほぼ鳥戸断層の位置)が推定される。また、No.100付近に西上がりの小断層、No.140付近に東上がりの小断層が推定される。両断層間はスラストリッジとなるが、この付近には変位地形が認められず詳細は不明である。表層部の段丘堆積物(Te)はLf相当層と見られ、花崗岩とM相当の段丘礫層を侵食した谷を埋めて堆積したものと見られる。地形判読では測線の南側に分布するM面に明瞭な断層崖があるが、Lf面には認められない。反射断面でも、推定断層の上方延長部に反射面のずれは認められない。もし、断層変位があっても、小規模なものは、反射断面に解像度がなく、とらえられないものと考えられる。

この断面図で、山口断層と鳥戸断層に挟まれた区間は地溝状の形態となる。地形判読によれば鳥戸断層の最近の活動は西上がりであり、反射断面ではこれとは逆の運動となるが、理由は明らかでない。第四紀以前に東上がりだったものが、第四紀には西上がりに転じた可能性も考えられる。

図2−1−1 浅層反射法弾性波探査の処理フロー