トレンチT3.1の壁面写真とスケッチ図を図2−3−3−1、図2−3−3−2、図2−3−3−3に示す。
トレンチで見られる地層は、大きく分けて上位から土壌層(A層)、細粒砂礫層(B層)、巨礫層(C層)の3層である。各々はさらに以下のように細分される。これは特にN面で確認できる。
・土壌層(A層)−−−A1(耕作土)
A2(黒色土:黒ボク)
A3(礫混じり暗褐色土:土壌化層)
・細粒砂礫層(B層)−B(巨礫を含まないシルト質砂礫)
・巨礫層(C層)−−−C(花崗閃緑岩巨礫を多数含む)
C−S(礫混じり砂層の挟み)
A3は礫層の上部が土壌化したものと見られる。B層はトレンチ南西の一隅にのみ見られ、比較的、礫径の小さな砂礫である。C層は最大径50cmの花崗閃緑岩巨礫や緑色片岩礫を含み、全体に礫が卓越する。同層には所々、マトリクスに黄褐色のシルトを含む層準があるが連続性は良くない。これは特にN面で確認できる。
(2) 地質構造
巨礫層Cはほぼ水平、わずかに東に傾斜している。本トレンチには、地形判読により座標N5付近を低断層崖とする逆断層があると考えられていたが、砂礫層の成層構造は連続性が良く、その中にせん断や撓曲変形が全く認められないことから、トレンチT3.1の範囲内には断層がないものと判断される。
なお、A2(黒ボク)は層厚が南に厚い傾向があるが、C礫層の上面が侵食されて南に緩く傾斜した斜面に堆積したためと考えられる。