本地域における地形面の形成年代については、地表踏査によっても直接年代を知りうる資料は得られなかった。したがってここでは寒川・八木(1980)、太田・寒川(1984)などの既存資料を参考に、次のように各地形面の年代を設定した。
・ H1面=15万年前
・ H2面=12万年前
・ M面/Mf面=5−8万年前
・ L1面=2.5万年前
・ L2面=2万年前
・ L3面=1.5万年前
・ Lf面=2−3万年前
(2)地形面の平均鉛直変位速度の分布傾向
各地形断面で得られた平均鉛直変位速度の一覧を表2−8 に示す。各地点における地形面の平均鉛直変位速度は、多くは0.1(m/千年)以下であるが、一部はこれを越える。すなわち、H1面形成以降の本断層帯の活動度は全体として“B−C級”である。また断層帯全体としての活動度の傾向をみるために、南北にのびる断層沿いに各地点における平均鉛直変位速度を示す(図2−14)。 図は横軸に中央構造線からの距離を、縦軸に平均鉛直変位速度をプロットしたものである。この図から、平均鉛直変位速度の分布傾向は小山断層近傍では比較的小さいが、鳥戸断層以南では0.1(m/千年)程度で推移し、片野断層の最南端部でやや小さくなることがわかる。
表2−8 地形断面測量結果に基づく地形面の平均鉛直変位速度