(1)調査位置

地表踏査により、山口断層の松阪市笹川町と同市西野町山口の境界付近で、低位面相当の扇状地Lfに断層変位が認められる箇所に断層露頭が確認された。この断層露頭はLf面構成層と考えられる砂礫層を変位させる低角逆断層であり、変位の生じた時代が新しいことが期待できる。また見かけ上の変位量が大きく繰り返し変位している可能性があることとあわせて、本断層帯の活動履歴を理解する上で重要な露頭と判断できる。 そこで本調査ではこの断層露頭について露頭の拡大を行い、断層の構造、地質構成、変位の過程を確認し、断層活動について考察した。露頭の位置は松阪市笹川町字越前(高畑西方)で、地形断面測量のNo.11断面の近傍である(図2−9)。この露頭の北側近傍には別の断層露頭(花崗岩類と一志層群の泥岩が接する)や、明瞭な撓曲崖(Lf面)、低断層崖(M面)があり、この地点付近の断層活動を示す根拠は比較的多い。

図2−9  露頭調査位置図(S=1:2,500)