(1)小山累層(To)
・模式地:一志町小山(吉田ほか、1995)。
・分布:中村川以北では、一志町〜嬉野町にかけてNW−SE方向に分布する。中村川以南では、松阪市伊勢寺町及び同市岡山町周辺に小規模に分布する。
・層序関係:中村川以北では、一志層群三ヶ野凝灰質シルト岩砂岩層を不整合に覆い、上位に亀山累層が整合に重なる。中村川以南では、松阪市岡山町北方で下位の一志層群井生泥岩層を不整合に覆う。伊勢寺町の県道瑞巌寺庭園線周辺〜岡山町北方にかけて、西縁は領家帯基盤岩や一志層群と一志断層系で接している。
・層厚:100〜120m。
・構造:一志町〜嬉野町ではNW−SE走向で、北東方向へ20〜50°余り傾斜する。松阪市伊勢寺町の県道瑞巌寺庭園線周辺ではほぼ水平だが、一志町小山の一志断層付近では急傾斜する。一志町小山の「みのり苑」造成地の東西方向の断層の近傍では直立し、一部逆転している。
・岩相:主に礫岩から成る。一部に砂層・シルト層を挟む。礫径は5p程度が多いが、20p程度のものも含む。礫種はチャート礫を主体とする。基質は黄白色〜褐色の中〜粗粒砂より成る。松阪市伊勢寺町の県道瑞巌寺庭園線周辺では径2cm程度の小礫を主体とする礫岩に、やや軟質な細粒砂岩およびシルト岩の薄層を挟む。礫種にチャートや一志層群の堆積岩を含む特徴的な岩相を示す。同市岡山町北方では、礫率50%程度の礫岩から成り、径2〜15cm程度のチャート、花崗岩類の円礫を主体とする。断層近傍では、本層の礫岩が破砕されて、基質部が粘土化している。
(2)亀山累層(Tk)
・模式地:亀山市付近(赤嶺ほか、1951)。
・分布:調査地では、中村川以北の一志町小山から嬉野町天花寺にかけて分布する。天花寺付近では、高位段丘堆積物に覆われる。
・層序関係:下位の小山累層の上位に整合漸移する。
・層厚:堆積域が順次北へ移動しており、積算層厚は1,500m以上に達する。調査地には亀山累層の下部が分布する。
・構造:およそNW−SE走向で、北東へ10°〜20°傾斜する。
・岩相:主として厚さ数10p〜数mの砂岩層、泥岩層の互層から成る。砂岩層は比較的淘汰の良い細〜中粒粗砂岩から成り、弱い平行葉理が発達する。泥岩層は塊状無層理で風化によりブロック状〜細片状に割れやすい。一部に砂礫層を伴う。