表2−6に新第三系の層序区分と平成9年度調査結果及び主要文献との対比を示し、以下、本報告における地質区分について述べる。
一志層群の区分は、調査地内の地層の相互の関連を明確にするため、基本的に柴田(1967)を踏襲した。柴田(1967)は、一志層群を、その層相及び産出化石から3回の堆積サイクルが認められる海成堆積物であるとし、下位より波瀬・大井・片田の3累層に区分した。また、領家帯基盤岩類の周囲に分布する礫岩であっても、一部は最下位の波瀬累層矢下礫岩層よりも層序的に上位のものが分布することから、波瀬・大井累層と同時異相関係にある家城累層を設定した。調査地には、波瀬累層の中・上部層、大井累層の上部層、及び波瀬累層と同時異相関係にある家城累層が分布する。柴田(1967)は、家城累層を“東青山相”と“落合相”に区分しているが、調査地では落合相の分布がごく限られているため、本報告では家城累層として両相を一括した。
調査地の鮮新統は、既存文献では「奄芸層群」と呼ばれていることが多い(例えばAraki(1960)や恒石(1970))が、平成9年度の調査では、近年出版された地質図幅「津西部」及び「津東部」(地質調査所)が東海層群の名称を用いていることを理由に東海層群に統一しており、本報告でも東海層群とした。調査地では東海層群の亀山累層および小山累層が分布している。本調査地では下位の小山累層がほぼ全域に認められるのに対し、上位の亀山累層は中村川以北にのみ分布している。
表2−6 新第三系層序対比表