0 はじめに

本報告書は、三重県が科学技術庁の平成11年度地震関係基礎調査交付金を受けて実施した「布引山地東縁断層帯に関する調査」の結果をまとめたものです。

平成7年1月17日に発生した阪神・淡路大震災を契機として、直下型地震の震源となる活断層に関する詳細な検討が重要な課題となっています。

そうした中、平成11年には、8月にトルコ、9月には台湾で相次いで大地震が発生し、多大な被害を生じました。これらの地震も活断層の活動によるものであり、活断層調査の重要性が改めて認識されました。

活断層は、「近い過去に繰り返し活動し、将来も活動を繰り返す可能性のある断層」です。過去の活動状況を解明することにより、将来において想定される地震を評価することが可能となると考えられています。

布引山地東縁断層帯は、県都であり、かつ災害対策機能の集中する津市に極めて近接して存在する活断層です。布引山地東縁断層帯の詳細な位置及び過去の活動履歴を明らかにした上で、長期的な地震発生の可能性について評価を行うことは、三重県の防災を考えていく上で非常に重要であることから、平成9〜10年度にかけて同断層帯の調査を実施してきました。

その結果、布引山地東縁断層帯の活動範囲がさらに南方に延長される可能性が示されました。

このため、平成11年度は、布引山地東縁断層帯の南方に存在する活断層を対象として地形地質調査を実施し、活断層の位置等について明らかにするように努めました。

平成12年度は、これらの調査結果を踏まえた上で、布引山地東縁断層帯南方の活断層について過去の活動履歴を明らかにし、同断層帯の長期的な地震発生の可能性について評価を行うとともに、三重県の地震防災に資することを目的として、さらに詳細な調査を継続して実施する予定です。

本調査結果を今後、地域の長期的な地震防災対策の基礎資料として活用していただければ幸いと存じます。

最後に、本調査を実施するにあたり、ご指導、ご助言を賜りました三重県地域活断層調査委員会委員各位並びに関係各位に深く感謝申し上げます。

平成12年3月

                   三重県地域振興部長 梅田 次郎