(1)断層帯の平均変位速度と断層長

地形断面測量による地形面変位量の計測結果を表3−2−1に示す。平均変位速度は変位量を各地形面の形成年代で除して求め、これを図3−2−1にプロットした。同図には参考まで、既存調査の鈴鹿東縁断層帯(平成7年度)の平均変位速度分布も併せて表示した。

本断層帯の各地形面の平均変位速度は、概ね0.1(m/1,000年)、最大で0.16(m/1,000年)である。

図3−2−1によると、平均変位速度は椋本地区で最大となり、安濃町安部地区で小さくなる傾向が認められる。すなわち、断層帯の北を起点として距離0〜20km(亀山市安坂山〜安濃町南神山)で1つの山型のカーブを描く。また、距離23km(津市片田新町)以南も1つのユニットと見ることができる。このように、布引山地東縁断層帯は、平均変位速度の分布から2つのセグメントに分かれる可能性がある。しかし、南部のセグメントは、南端で収束するかどうかは不明で、さらに南方へ続く可能性も考えられる。 

以上の検討から、地震規模の想定に必要な断層長は、断層帯全体が活動する場合が最大地震となるため、断層帯全体の延長27kmを最大値とすることが出来る。一方、上記の個々のセグメントだけが活動する可能性も否定できない。

表3−2−1 地形面の変位量と平均変位速度

図3−2−1 布引山地東縁断層帯−鈴鹿東縁断層帯の鉛直変位速度分布図