(1)トレンチの地層構成

トレンチTM2はM2面上の逆向き低断層崖の延長付近で掘削した。

トレンチで見られた地層は、下位より、段丘面M2を構成する礫層(G)、砂層(Sd1)、青灰色シルト(Sil)である。Gの上部には砂層(G−S)が挟まれている。Sil中には頻繁に粗砂、細礫(Sd2、Sgなど)が混じる。その上位には花崗質粗砂(SgN)と泥炭質黒色土(S2)が堆積している。SgNは下位のSilに対して不整合である。最上位には表土・耕作土(S3)がのる。S2にはAT火山灰に由来する火山ガラス(二次堆積)が含まれるがSilには含まれない。このことから、SilはG堆積以降、AT以前の堆積物である可能性が高いと言える。

14C年代はSd2付近のSil中の腐植が約3.0万年前、および約3.2万年前、S2(木片)が2,250±30 yBP、S3中の炭化物が770±50 yBPである。

これらを表2−3−3の一覧表に示す。同表のうち、土壌S2の年代2250±30yBPは暦年代でBC.365(2σ=BC.385−200:σは誤差)となり、弥生時代前期に相当する。S2とS3に古墳時代の土器が包含されていることから、弥生時代に形成された土壌が古墳時代以降に攪乱されたと解釈される。一方、土壌S3は暦年代でAD.1270(2σ=AD.1195−1300)となり、鎌倉時代に相当する。これは、鎌倉時代に土器包含層が大きく攪乱され(人工改変は耕作土S3のみならず、S2まで及んでいた)、その際に鎌倉時代の炭化物が混入したものと解釈される。

*(注) G−S、SgN、S2、炭化物、土器片はS面に見られる。

表2−3−3 トレンチTM2の層序