3−2−2 走向線図について

地質図の走向・傾斜をもとに走向線図(付図5−1付図5−2付図5−3付図5−4)を作成した。走向線図は地層の走向方向を線で示し、傾斜を線の間隔で表現したものである(線の間隔は傾斜角のcosecant;1/sinに比例)。従って傾斜する地層の分布を視覚的に表現できる利点がある。また、傾斜方向は走向線に矢印を付け、矢印方向の右側に傾斜するよう表現した。

ここでは、新第三系鮮新統の東海層群の他、中新統の鈴鹿層群と一志層群についても表現した。

付図5−1付図5−2付図5−3付図5−4に示すように、一志断層の近傍では、鈴鹿層群、一志層群はもちろん、東海層群も断層と平行に東へ急傾斜している。白木断層の南方では向斜構造をなす。白木断層から椋本断層にかけては境界断層から東へ離れた前縁断層をなしていると言える。風早池断層も境界断層に対して前縁断層と言えよう。ただし、その中間の長谷山付近では前縁断層を伴わず、境界断層のみとなる。布引山地東縁断層帯で前縁断層を欠くのは、唯一、長谷山の東麓のみである。長谷山東麓の東海層群は一志断層近くでは大きく変形し、逆転している。

一方、庄田断層は付近の地質構造に特に大きな変化を与えていないと言える。