・ 新期領家花崗岩類及び領家変成岩類
・ 新第三紀中新世堆積岩類(鈴鹿層群及び一志層群)
・ 新第三紀鮮新世堆積岩類(東海層群)
・ 段丘堆積物
・ 沖積層
調査地西側はほぼ南北に山地が連なり、その東縁に丘陵地と平野が広がる。山地の地質は大部分が新期領家花崗岩類からなり、一部、津市の長谷山に領家変成岩類が分布する。丘陵地には新第三系とこれを覆う段丘堆積物、主要河川沿いには沖積層が分布する。
領家変成岩類はジュラ紀に堆積し、白亜紀後期に広域変成作用を受けたと推定される(吉田ほか、1995)。白亜紀後期には花崗岩類が貫入した。
中新統は鈴鹿層群と一志層群に区分される。両層群は大局的に下部に礫岩が卓越し、上方へ向かって砂岩やシルト岩が優勢となる上方細粒化の岩相を示す。鈴鹿層群は花崗岩類を不整合に覆い、関町白木一色から芸濃町忍田の北方まで分布する。一志層群は、下位の花崗岩類・変成岩類及び鈴鹿層群を不整合で覆い、関町萩原から調査地南端まで分布する。上位は東海層群と段丘堆積物などの第四系によって不整合で覆われる。
鮮新統の東海層群は、岩相の特徴から陸成層と考えられる(吉田ほか、1995)。調査地北端から南端にわたり丘陵地に広く分布する。主に礫・砂・シルトなどからなり、下位の中新統と比較して固結度が低い。
調査地には、ほぼ南北に一志断層が分布する。山地と丘陵地の境界部(調査地北部、安濃町と津市の境界周辺)では、一志断層は花崗岩類及び変成岩類と新第三系の境界を形成し、丘陵地では新第三系(東海層群)を切る。また、津市の長谷山の東方山麓では段丘堆積物を切るため、一志断層の活動が第四紀後半まで及んだ可能性がある。
一志断層の東側には、これとほぼ平行する白木断層(宮村ほか、1981)、椋本断層(太田・寒川、1984)、風早池断層(八木・寒川、1980)などの活断層が断片的に分布する。一志断層とこれらの活断層に挟まれる地域の新第三系には、地層の急傾斜や逆転が認められる。
また、久居市森町では、一志断層の西側にNE−SW走向の活断層である庄田断層(八木・寒川、1980)が認められる。一方、安濃町安部の西方で東西方向に発達する船山断層(吉田ほか、1995)は中新統を切る地質断層とされている。
なお、本地域の地質を記載するにあたり、主に宮村ほか(1981)、吉田ほか(1995)、吉田(1987)の文献を参考にし、地層名についても、これらで使用されている地層名を踏襲した。 以上の地質の層序を表2−2−4に示す。
表2−2−4 地質層序表