(1)遺跡発掘資料

大規模地震の際には地割れや液状化が発生することがある。先史時代の遺跡の発掘によってそのような地震痕跡が発見されることがあり、古文書の記録がない場合でも古地震解明の手がかりとなる。

本調査では三重県教育委員会埋蔵文化財発掘センターの資料等を入手した(中勢道路関連の発掘調査)。資料は主に次の2種である。それらについては、巻末に資料の抜粋を掲載した。

@ 蔵田(ぞうた)遺跡(津市納所町字蔵田ほか)

蔵田遺跡は弥生時代の遺構が主体である。発掘により、地震痕跡と見られる噴砂、噴砂丘と砂脈が認められれた。砂脈は2方向に見られ、縄文時代晩期頃に液状化が発生したとされている。

A 位田(いんでん)遺跡(津市北河路町字位田ほか)

位田遺跡は弥生時代〜古墳時代の遺跡である。地震痕跡と見られる噴砂、砂脈が古墳時代の土層を貫いている。よって、噴砂の時代は古墳時代以降、現代までの間と見られる。噴砂の上部で、水田の床土の落ち込みがあることから、水田耕作の時代以降とも言える。

<参考資料>

・ 三重県埋蔵文化財センター(1995):一般国道23号 中勢道路 −埋蔵文化財発掘調査概報Z

・ 三重県埋蔵文化財センター(1997):一般国道23号 中勢道路 −埋蔵文化財発掘調査概報\

・ 埋文関係救援連絡会議・埋蔵文化財研究会(1996):「発掘された地震痕跡」、p437−447、p813