地表踏査により、長谷山東麓で片麻岩が東海層群に乗り上げる逆断層が見出された。断層は上にのる中位面M2相当の段丘礫層を切る。これは一志断層の一部で、花崗岩類と東海層群を境する境界断層である。
A 走向線図について
地質図の走向傾斜をもとに走向線図*1(付図5−1、付図5−2、付図5−3、付図5−4)を作成した。一志断層の近傍では鈴鹿層群・一志層群・東海層群の各地層は東へ急傾斜し、東側では緩傾斜となる。さらに、東に離れた白木断層から椋本断層は前縁断層をなす。津市長谷山東麓には前縁断層がなく、境界断層のみが認められる。
B 反射法探査による大規模撓曲構造
椋本地区と片田地区では、西上がりの逆断層のみならず、撓曲構造がとらえられた。これは東西性の圧縮応力によるものと考えられる。また、吉田ほか(1995)の久居撓曲は、北方の長谷山付近まで延びることがわかった。地質構造上、一志断層は南は風早池方面へつながっているように見える。