断層の分布状況は、変位地形、地質の分布状況、大深度地質構造等から検討した。その結果、断層の延長は前縁断層系で約17km、境界断層系では、約18kmである。しかし断層活動としては、一連の活動が想定され、ひとつにまとまって動く可能性がある。その場合は両断層が重なる距離を考慮して、断層延長は約33〜34kmと考えられる(図3−4−3−1及び図3−4−3−2に活断層図を示す)。ただし、1回の地震で前縁断層系と境界断層系の活動が同時に起こるのか、あるいは別々に起こるのかの予測は現状では非常に困難であり、今後の研究課題でもある。
(2) 地震規模
地震規模の想定は、松田(1975)の式のうち断層延長を利用し最大地震マグニチュード(ML)を求め方法では、
ML=7.4
地表地震長さ=前縁断層系+活動的な境界断層系
=34km
である。
また今回は、断層面の角度や剪断長が調査結果から概ね推定されていることから、地震によって生じた断層面の大きさ全体を表すモーメントマグニチュード(Mw)を求めると、
Mw=6.8〜6.9
L=34km(鈴鹿東縁断層帯の推定最大断層長)
W=17km(角度=60゜,深度=15kmで設定した断層面の角度と深度
から求めた断層長の幅)
d=0.7〜0.9m(断層長における平均的なみかけ剪断長)
である。
この結果、今回の対象とした鈴鹿東縁断層帯で発生する地震はマグニチュード7程度と推定される。
図3−4−3−1 活断層図(1/2)
図3−4−3−2 活断層図(2/2)