2−3−1 反射法探査の概要

(1) 目的

反射法探査による物理探査は、活断層の位置、断層による変位量及び地質構造を明らかにすることを主な目的で実施し、特に大深度探査では、鈴鹿山脈東縁地域の境界断層系と前縁断層系の関係を把握する目的を加味した。

(2) 測線の位置(活断層との関連)、測線長及び探査仕様の概要

反射法探査は大きく2種類の探査を実施し、概略的な探査位置は、図1−2−3−2に示した。

1) 極浅層反射法探査

探査はトレンチ箇所の選定のために前縁断層系の存在を把握することを目的に実施した。探査場所は源太川左岸であり、ほぼ源太川に沿った東西方向に測線を配置した。探査は1測線200mの延長で行った。起振方法は、ポータブルバイブレータを用いた。

2) 大深度反射法探査

探査は、境界断層系と前縁断層系の存在と、両者の関係を調べるために両断層に直交する方向に実施した。探査場所は青川沿いで、西は鈴鹿山脈の登山道入口付近から東は青川大橋の区間で、1測線延長約6500mである。起振方法は、バイブレータを用い、若干狭窄部の箇所においても、油圧インパクタを用いずバイブレータで実施した。

(3) 探査対象深度

極浅層反射法探査は、トレンチ周辺の比較的表層の地質構造、特に地層の撓曲状況の把握等からトレンチ位置の選定に役立てた。探査地点ではボーリング調査も実施しており、その結果との対比を行い精度の向上に努めた。探査深度は30m程度、起振点間隔1m、受振点間隔1mとした。

大深度反射法探査は、基盤の中・古生界の深度を把握し、かつ境界断層と前縁断層の関係が判明するまでの深度を目標に行った。探査深度は既存資料等の基盤深度を考慮し、2,500m以上を目安とし、起振点間隔20m平均、受振点間隔10mとした。

(4) 現地探査実施期間

1) 極浅層反射法探査

平成8年7月15日〜7月19日

2) 大深度反射法探査

平成8年9月18日〜9月28日

(5) 担当者

1) 極浅層反射法探査

国際航業(株)東日本事業本部 地質一部

向山 栄(技術士:応用理学)

松本 俊幸(技術士:応用理学)

堤 昭一

2) 大深度反射法探査

(株)地球科学総合研究所

井川  猛(技術士:応用理学)

清水 信之(理学博士)