調査地に分布する地質は、古い時代から、美濃帯に属する中・古生層(ペルム〜ジュラ系)の砕屑岩類、緑色岩類及びそれらを貫入する白亜紀貫入岩類分布する。新第三紀中新世堆積岩類(千種層)は、境界断層に沿って狭小に分布する。鮮新世−更新世の東海層群(奄芸層群)は、調査地の丘陵、低地部の基盤として分布する。それらを覆って更新世中〜後期の段丘堆積物及び扇状地堆積物や完新世の沖積層及び新期扇状地堆積物が分布する。
2) 地質構造(特に東海層群について)
東海層群の地質構造は、前縁断層系の分布する三滝川以北の地域と、境界断層系のみ分布する三滝川以南地域とでその特徴は異なる。三滝川以北の地域で、境界断層系と前縁断層系に囲まれた区間の東海層群は、中角度以上の傾斜を示し、このような地質構造と第四紀断層の分布が密接に関係していることが明らかとなった。一方、三滝川以南の東海層群の地質構造は、水平〜低角度で堆積し、中生代の基盤とは不整合関係で分布していることが確認された。一部の東海層群中で高角度の地質構造を示す部分が認められているが、その範囲は局所的であり、空中写真判読から、明瞭な変位地形が観察されていない事実も合わせると境界断層系の分布は示唆されるものの、その断層活動は、三滝川北部に比べあまり活動的でないことが予想される。
最後に新編日本の活断層(1991)で示された断層とと踏査結果について比較した表を表2−2−3−4に示した。基本的には日本の活断層と特に変更した点はないが、断層露頭や変位地形の再確認がなされた。
表2−2−3−4 「新編 日本の活断層」(1991)と調査結果の比較