1−3−3 物理探査結果

反射法探査による物理探査では、活断層の位置、断層による変位量及び地質構造を調査し、特に当該地域の境界断層系と前縁断層系の関係を明らかにすることを目的として実施した。

この調査においては、源太川左岸の青川中地点のトレンチ箇所に沿った極浅層反射法探査と青川沿いの大深度反射法探査の2種類の探査を実施した。

(1) 極浅層反射法探査結果

探査は、推定した前縁断層系に直交するように東西方向に測線を設置した。

反射法断面からの解釈結果は次のとおりである(U章参照)。

@ 深度断面図から読みとれる東西方向の明瞭な反射面は、測線沿いで実施したボーリング結果からみれば、シルト層もしくはシルト優勢層と砂礫層の境界面にあたる可能性が高い。

A 砂礫層中の反射面は、さほど明瞭ではない。

B 地形から推定した断層付近で、撓曲した反射面と逆にややせり上がるような反射面が認められ、この付近に東上がりの断層面が推定された。さらに反射断面のより西側では、反射面の東上がりのずれが認められ、その付近に逆向き断層が推定できる。

(2) 大深度反射法探査

探査は、前縁断層系と境界断層系に直交するように東西方向に測線を設置した。

反射法断面からの解釈結果は次のとおりである(U、V章参照)。

@ 比較的明瞭な反射面は、7面程度認められる。

A 反射面は、前縁断層系が横切るとされる位置付近を境に西と東でその構造が大きく異なり、東ではほとんど水平かもしくは西へ緩く傾斜し、西では40°程度の東傾斜を示す。このことから、ほぼこの位置に西傾斜の前縁断層系が想定できる。反射面のうち、地表から6面目が、他の反射面に比べ明瞭であり、基盤(中・古生界)とその上位層の境界面であると思われる。

B 断層の反射面は、反射面としては実際には不明瞭であるが、速度値の変化や反射面の勾配等から、東側より、前縁断層、新町断層及び境界断層に対応する断層の存在が示唆される。

C 断層面の勾配を考えると、比較的低角の前縁断層系が高角の境界断層系と地下深部で合致する可能性が示唆される。

D 調査地域周辺での既存資料の屈折法弾性波速度値(最新名古屋地盤図,1988)からみた速度値と地層の対比は、1.9km〜2.5km/sec層が第四紀層〜第三紀層上部(東海層群)、3.0km/sec層が第三紀層下部(千種層に対比される可能性が高い地層)、5.0km/sec層が基盤(中・古生界)にそれぞれ対比されている。

今回の結果は、この既存資料の速度値にほぼ対応すると思われるが、想定される地層に対応する速度値が既存値に比べ若干速くなっている。この点に関しての解明は今後の検討課題であろう。