3−5 断層の活動度

既述のように,樺戸断層群セグメントa(雨竜町豊里T5面)およびc(浦臼町浦臼沢T2面,同町札的内T3面・T6面)を横切る農道に設定した4測線で,簡易水準測量を実施した.前節で述べた変位量を各段丘面の形成年代で除して,平均垂直変位速度を見積もり,各断層の活動度を推定した.

それらの結果(図3−1)によれば,セグメントaの雨竜町豊里T5面における平均垂直変位速度が0.5m/kyrと最も大きい.セグメントcの浦臼町浦臼沢T2面と同町札的内T3面・T6面では,変位速度は0.09〜0.14 m/kyrと小さい.なお,地形判読・地形面区分から,和断層の変位速度は概ね0.2〜0.5 m/kyr程度と推定される.セグメントdでは変位量は不明である.

活動時期については,T5面に変形を与えているのは,セグメントa(雨竜町豊里および新十津川町大和)とセグメントc(浦臼町於札内)のみである.従って,この部分では1万年前程度以降〜数千年以前までの間に最新の活動があったと推定される.また,完新世のT6面に確実度Tの変位が見られるのは浦臼町札的内におけるセグメントcのみであり,数千年前以降〜数百年以前の間に活動が推定できる.低地面に変位が見られるところはない.