(2)地質・地質構造

調査地域の地質は,下位より1)鮮新統当別層,2)鮮新統厚軽臼内層下部層,3)下部更新統(?)厚軽臼内層上部層(仮称),4)Mp−4面およびLg−1面堆積物,および5)Ho面堆積物に区分される.なお,現河川沿いの一部には河川改修の際,埋め立てられた埋立土層が分布する.鮮新〜下部更新統は大局的に同斜状の構造をとり,山地側から低地側に順次上位層が分布する.

1)当別層は,層理の不明瞭な青灰色細粒砂岩からなり,一部凝灰質砂岩の薄層を挟む.札的貯水池より上流に分布し,その走向は概ねNNE−SSWで,30゜程度東に傾斜している.

2)厚軽臼内層下部層は斜交成層の著しい凝灰質砂岩からなり,礫質砂岩,軽石質砂岩を伴う.下位の当別層とは整合と考えられている.厚軽臼内層下部層は,上流の札的貯水池付近では概ねNNE−SSWで,20〜30゜程度東に傾斜している.しかし,これより下流(候補地点より400m上流)の土砂採取場付近ではほぼ水平(傾斜0〜8゜)である.

3)厚軽臼内層上部層(仮称)は河川成の礫岩を主体とし,細粒砂岩・シルト岩を挟む.下位の厚軽臼内層下部層を不整合に覆う.層厚は150m以上と推定される.上述の土砂採取場付近ではほぼ水平であるが,候補地点の下流左岸の射撃場のり面,三角末端面の道路のり面,およびその下の水田沿いの崖では30゜から75゜と急激に東側に傾斜する.水田沿いの崖には,これを切る北西に20゜程度傾斜する小断層が多数発達している.これらは,この地層の曲げ(flexure)に伴う小断層と判断される.

4)Mp−4面およびLg−1面堆積物については,露頭が少なく詳細は不明である.Lg−1面堆積物の上部2〜2.5mは,厚さ数10cmの灰色〜黄褐色シルトとシルト基質角礫層の互層からなり,しばしばインボリューションによると見られる波状の変形をしている.確認した限りでは,この互層下の礫層は,厚さ1m以上で径数cmの亜角礫が多い.

5)Ho面堆積物はシルト・砂礫からなる.礫の径は数cm程度のものが多く,大きな礫は少ない.ボーリング地点での堆積物の厚さは4mである.