1−3−3 トレンチ調査候補地点の選定の経緯

トレンチ調査候補地点の選定にあたっては,特に次の点を考慮する必要がある.

@ 地形的に明瞭なリニアメントがあること.

A リニアメントが新しい地形面を切っていること.

B 大規模な土地改変が行われておらず,用地の確保が可能であること.

当初,地形判読・現地踏査を行った段階では,トレンチ調査候補地点として次のA〜Dの4地点が挙げられていた.

A 北竜町和市街西方:和断層

市街地に近接しており,防災上重要.沖積面の低断層崖.

B 雨竜町新生〜豊里:樺戸断層群a.

地形面の変位量が最も大きい.撓曲崖.

C 新十津川町大和西方:樺戸断層群a

撓曲崖.

D 浦臼町札的内:樺戸断層群c.

沖積層の撓曲崖.

予察的な重力プロファイル調査を行ったところ,Aの北竜地区では異常が認められないが,他のB・C・D地区では「小さな」異常がみられ,これを反映した地下構造の異常が予想された.

そこで,B・C・Dについて,前述の反射法地震探査やIP比抵抗電気探査などの物理探査を実施した.その結果,いずれの地点でもリニアメントに対応する不連続面を認めたが,Cは地形面の変位量が小さく,現地で場所の特定が困難と思われた.以上の結果から,トレンチ調査の候補地点として,B地点とD地点を選定した(図3−3−1).

雨竜町豊里地区(B地点)と浦臼町札的内地区(D地点)に関する物理探査総括図は,前節の図3−2−3図3−2−5,および図3−2−6に示されている.両地点とも撓曲崖と推定され,断層位置を明瞭には特定できないため,トレンチの長さを50m程度と長く設定する必要があると考えられる.