(4)地形面の区分・対比・分布

樺戸山地東縁では,下位よりHo,Lg−3,Lg−2,Lg−1,Mp−4,およびMp−2の6つの河成面が区分できる(図3−1−2).従来の研究による編年結果との対比を表3−1−1に示す.また,十勝平野と関東平野での編年結果との対比案を,表3−1−2に示す.

Ho面は最も下位で,最も河川に近い位置に存在する段丘面である.また最も広い面積を持ち,最も出現頻度が高い.沖積面との比高は,10m未満である.この段丘面は,山本(1987)のV面に相当し,完新世の後半に離水した段丘であると推定される.

Lg−3面は下位から2番目の段丘である.Ho面との比高は5m未満である.浦臼町於札内以北の,石狩川・雨竜川とそれらの支流との合流点付近にLg−3面が広く分布している.この段丘面は,山本(1987)のIV面に相当する.山本(1987)は埋没土壌の絶対年代値5910±60yr.B.P.をもとに,IV面の離水が完新世の前半に起こったとしている.

Lg−2面は下位から3番目の段丘である.この面は札比内より北では石狩川の支流にそって分布しており,本流に沿っては分布が悪い.しかし札比内より南では石狩川沿いに大規模な扇状地性のLg−2面が分布している.この面は,山本(1987)のIII面に相当する.山本(1987)は,埋没土壌の絶対年代値21100±600yr.B.P.をもとに,III面の離水が最終氷期の後半に起こったとしている.

Lg−1面は,恵岱別川右岸・総富地川右岸・浦臼付近に分布している.この面は山本(1987)のII面に相当する.山本(1987)は,埋没土壌の絶対年代値41600±1800yr.B.P.をもとに,II面の離水が最終氷期の前半に起こったとしている.

Lg−1面とMp−4面とは,河床からの比高がほぼ等しい.両者の間に明瞭な段丘崖が存在していることは稀であるため,それぞれを区別することは難しい.Mp−4面の方がLg−1面よりも開析が進んでいること,面積が狭いこと,また相対的に河川から離れた位置に存在していることに注目し,両者の判別に努めた.

Mp−4面は高位から2番目の河成面である.この面は総富地川から札比内にかけて広く分布している.平野(1980)のII面,活断層研究会(1991)の高位面に相当する.明確な根拠となるデータは得られなかったが,相対的な位置関係から考えると,おそらく最終間氷期から最終氷期開始時期にかけて離水した段丘面であろう.

Mp−2面は最も高位の河成面である.この面は,於札内川付近に広く分布し,平野(1980)のT面,活断層研究会(1991)の最高位面に相当する.最終間氷期前半またはそれ以前に離水した可能性がある.