このような平均堆積速度の変化は,層相にも反映していると見なせる.すなわち,各ボーリングのBT74以深の層相は,砂シルトが比較的多いが,以浅で姶良丹沢火山灰層準まで礫層が卓越し,堆積速度の大きい沈降域とそうでない場所の差異が層相に現れてる.
このように,宇治川断層を境に上盤側の京都盆地北部と下盤側の南部の分化と沈降は,少なくとも約70万年前以降から活発であった.沈降については,36万年前以降その速度は,それ以前の10~20%まで減少することが明らかとなった.沈降速度に現れた変化が地域的なものなのか,広域的なものなのかについては,より多くの資料の蓄積と検討が必要であろう.