これらの花粉帯は花粉化石の産出の少ないV帯を除けば,いずれもアカガシ亜属,スギ属,コウヤマキ属,ブナ属,サルスベリ属,フウ属などが産出する温暖な気候を示した.
この花粉化石群集は大阪層群中・上部における海成粘土層の花粉化石群集(関西地盤情報活用協議会,1998; Furutani,1989)と調和した.
各花粉帯の特徴と火山灰層層序により本調査の花粉帯は,以下に示す大阪層群の海成層(Ma層)に相当すると推定した(図3−4−3−4).
T帯―Ma6層?
U帯―Ma7層
V帯―Ma8層?
W帯―Ma9層
X帯―Ma10層
文献
(1)Furutani, M.(1989):Stratigraphical subdivision and pollen zonation of the Middle and Upper Pleistocene in the coastal area of Osaka Bay, Japan. Journal Geosciences, Osaka City University, 32, 4, 91−121.
(2)市原実 編(1993):「大阪層群」.創元社, 340p.
(3)関西地盤情報活用協議会編(1998)「新関西地盤―神戸および阪神間―」.関西地盤情報活用協議会,270p.
(4)那須孝悌(1970):大阪層群上部の花粉:化石について―堺港のボーリングコアを試料として―.地球科学, 24(1), 25−34.
(5)田井昭子(1966):大阪市におけるボーリング(OD―1) コアの花粉分析(その1;その2) ―近畿地方の新期新生代層の研究X―.地球科学, 83, 25−33;84, 31−38.
(6)Tai, A.(1973):A Study on the Pollen Stratigraphy of the Osaka Group, Plio−Pleistocene Deposits in the Osaka Basin. Mem. Fac. Sci. Kyoto Univ., Ser. B, 34, 2, 123−165.
(7)吉川周作(1976):大阪群の火山灰層について.地質学雑誌,82, 497−515.
(8)吉川周作・井内美郎(1993):琵琶湖高島沖ボーリング火山灰から見た中期更新世〜完新世の噴火火山史.地球科学,47−2, 97−109.
(9)吉川周作・小倉博之・福西佐代(1993):大阪平野地下の中・上部更新統火山灰層序.地質学雑誌,99−6, 467−478.