3−3−2 地質構成

ボーリングコアの肉眼観察から層相の特徴や組み合わせおよび試料分析を参考に,地層間の対比をおこない,地質断面図を作成した(図1−13図3−3−2−1).表土を除いて,上位から下位にT~V層に大別できる.

A.T層(淡水成シルト層)

T層は腐植質シルトを主とし,薄い砂層を挟む.暗灰〜暗緑灰で,軟弱である.淡水成堆積物を示す藍鉄鉱が点在している.鉛直方向のアシ,ガマの根が認められた.巨椋池周辺の低湿地〜湖沼堆積物である.No.1で層厚は約7m,南側のNo.3では約11mと厚くなる.No.1深度6.4m付近に火山ガラスが肉眼で観察できる.下位のU層とは不整合で接する.

B.U層(暗灰〜オリーブ黒色礫層)

T層下位の地層を概観すると上部では,礫層が卓越し,下位で砂シルト互層が増加する.上部の礫層は,色調で2分される.上位は暗灰色で,下位は褐色を示す.上位をU層,下位をV層と区別した.

U層は,T層直下の暗灰〜オリーブ灰〜オリーブ黒色の礫を主とする地層で,No.3ではT層直下にやや厚い砂層や腐植質シルトを伴う.この部分の一部に花崗岩起源の砂を交えるが,他の部分は中・古生層起源の礫と基質の砂である.礫層中に粗粒砂を挟むこともあるが薄い.礫径は5~10mmの中礫が多い,一部で40~50mm径の礫や砂分の多い部分もある.礫径は亜円〜円礫が多い.礫種はチャートが多く,次いで砂岩,頁岩である.基質は粗砂である.No.Tで層厚は約7m,基底面深度は14.5m付近である.No.2で層厚は約12m,基底面深度は約22mである.No.3で層厚は13m,基底面深度約24mである.南側のNo.3で層厚,基底面深度共に大きくなる.下位のV層とは,不整合と思われるが境界付近で,色調以外に構成物に顕著な差異は認められず,両者の地層の関係は明瞭でない.

C.V層(褐色礫層〜砂シルト互層)

本層の上部は褐色礫層が卓越し,下部は砂シルトの互層が卓越する.No.3ではこの区分は明瞭で,その境界は深度83m付近である.No.1,2で境界は明瞭でないが,細粒化の傾向は明瞭である.前者の深度38m付近,後者の深度65m付近を境界とした.

褐色礫層は,5~20mm径の円?亜円礫を主体として,チャート,砂岩,頁岩礫からなる.一部に層厚1~2m程度の腐植物を含む砂あるいはシルトを挟む.No.3深度約54.2m付近の暗緑灰色シルトには角閃石を含む火山灰(BT74)が肉眼で検出できる.花崗岩起源の石英や長石など花崗岩起源の礫層基質の白色砂が最初に目立って増える層準がある.No.1~3の順に深度35.5m,58.5m,76mである.

下部の砂シルトの互層部分のシルトは殆どが暗緑灰色で,藍鉄鉱が散在し,淡水成と判断される.No.3深度84m付近やNo.1深度122m付近等に海成粘土を示す青灰色に近い色調のシルトが僅かに散在する.シルトには腐植を含むことが多い.砂は細礫を含む粗砂が主体である.No.1深度約149m付近に層厚3cmの火山灰(八丁池T)が,No.3深度177.5~178.9mに佐川U火山灰が肉眼観察で検出された.