(1)概要

火山が噴火すると火口からさまざまなものが噴出する。その中で風に吹かれて一番遠くまで飛んでいくのが火山灰である。火山から噴出した火山灰は,当時の地表あるいは水中(湖沼,内湾,海洋)に上空から降り注ぎ,堆積する。多少の時間的な差はあるが,火山灰が堆積するのは地質学的には同時と考えることができる。

従って離れた地域の地層の中に同一の火山灰が見いだされれば,その火山灰が挟まれる地層の岩相・層相に関わりなく,火山灰の直下の地層面は同時代に存在していたことになる。このことを利用すれば,調査地点ごとに得られた柱状図中に同一の火山灰を見いだすことにより同時期の地層を識別することが可能である。

上記のような火山灰層の特徴から,火山灰は有効な鍵層として用いられる。

火山灰にはそれぞれ特徴があり,同一火山灰であれば,鉱物組成,鉱物の屈折率はほとんど同じで,特に火山ガラスの形態と屈折率は特徴的である。

最近では,日本の代表的な火山灰について,このような特徴と年代がかなり知られており,分析結果をこれらと比較することによって,火山灰を同定し年代を決めることが可能となってきている。