(1)概要
珪藻は,数十〜数百μmの大きさの単細胞の藻類で,水域生態系の一次生産者として淡水〜海水にわたるさまざまな環境に生活している。珪藻の殻は珪酸体よりなるため水成の堆積物から化石として多産する。珪藻類の校正種は,塩分濃度・栄養塩素度・pH・水流・水温などの物理化学的要因に対して適応範囲を持っている。こうした特性から,珪藻化石の量的・質的把握により古環境の会席が可能となる。計藻類は,各種群の固体生態が比較的よく知られており,それぞれの特性から生息域が淡水・汽水・海水か,陸域・沿岸・内湾・外洋か,また,生活型が浮遊性か低生生活か,付着基物が岩石・砂・泥・水生植物か,など古生態環境の復元にとって重要な指標を得ることが可能である。