(1)概要
種子植物やシダ,コケ植物は一般に多量の花粉あるいは胞子を生産する。これら花粉,胞子は植物体と離れて空中に放出され,広範囲の路面や水中に落下し,時には雨水や河川により湖沼や海域に運搬され堆積する。花粉,胞子の外膜はスポロポレニンと呼ばれる物理,化学的に強靱な物質で構成されているため,化石として保存される。花粉,胞子の形態は個々の植物群により特異的であるため,それぞれの花粉,胞子の特性から母植物群を知ることが出来る。これら植物群の質的,量的構成を知ることにより,過去の植生を復元したり,当時の気候や古環境を推定することが可能になる。