ボーリング調査は,京都市東山区東福寺南参道で実施した。地質想定断面図を図1−2に示す。
図1−2 ボーリング調査地質想定断面図
調査地の地質は下位から大阪層群,高・中位段丘相当層,低位段丘相当層に区分される。
大阪層群は,粘土層・シルト層・砂層・細礫層からなり,腐植土層をよく含む。全体的に青灰色〜緑青灰色を呈し,よく締まっている。大阪層群の傾斜は西傾斜で,概ね10〜18°である。山側に向かうにつれ,傾斜は急になる。
高・中位段丘相当層は,砂岩・チャートの細礫混じりの砂層主体である。基底部には礫層が分布している。まれに花崗岩質な砂礫層も含まれる。層厚は東側から西側に向かって層厚が厚くなる(No.2孔:7m,No1孔:24m)。もっとも東側のNo.3孔には分布しない。地層に傾斜はNo.1〜No.7孔付近までは6°程度であるが傾斜であるが,No.7孔から東側で傾斜が12°程度となり,東側に向かって急傾斜となる。
層理面の傾斜はばらつきが多く5〜34°とさまざまであるが,その中でも特に18°前後のものが多い。この層理面傾斜はボーリングで確認された地質断面図の傾斜(約6〜12°)より急角度である。これは堆積構造の一つで,高・中位段丘相当層が堆積する際の前置層に相当するものと考えられる。
大阪層群との不整合面の傾斜は,地層面の傾斜とほぼ同じである。No.1孔付近で約6°,No.9孔付近で約10°である。
低位段丘相当層は,砂岩・チャートの巨礫・玉石混じりの砂礫層主体である。下位の高・中位段丘相当層とは礫径やマトリックスの違いで区別できる。層厚は東側から西側に向かって層厚が厚くなる(No.2:2.8m,No.1:6.4m)。
・地層の年代について
各種分析を行い,中・高位段丘相当層の年代及び大阪層群の層序を推定した。中位・高位段丘相当層の時代については,火山灰分析の結果,DMP火山灰(12〜13万年前)を上部に含むことから10〜20万年前頃と推定される。
大阪層群については花粉分析の結果メタセコイヤを含まないことから大阪層群上部に対比される。